当院が目指す場所

当院が目指す場所

【当院の理念】はやしま こどもと家族の相談クリニックが目指す場所

~親子で笑顔に幸せに。「医療」という枠を超え、子どもを真ん中にした「ひとつのチーム」へ~

当院には、日々、保護者の方、学校や園の先生、福祉・支援機関の皆様から、切実なご相談が寄せられます。

「この子にどう関わればよいのか、もう分からない」
「家では毎日、うまくいかないことばかりで疲れ果てている」
「学校でつまずきが続いていて、どう守ってやればいいのか」
「診断が必要なのか、このまま様子を見ていてよいのか迷う」
「医療として、どこまで解決できるのか教えてほしい」

その震えるような声に触れるたび、私たちは強く、激しく感じます。
悩み苦しむ子どもを本当に救えるのは、医療だけでも、家庭だけでも、学校だけでも、福祉だけでもありません。
子どものそばにいる大人たちが、それぞれの立場から見えている事実を持ち寄り、同じ方向を向いて手を結ぶこと。 それ以外に道はないのです。

私たちが目指しているのは、医療が頂点に立ち、家庭や教育・福祉に対して「これが正解だ」と上から指示を下すような、冷たい医療ではありません。 かといって、医療が診断名だけをつけて「あとは現場で何とかしてください」と放り投げるような、無責任な医療でもありません。
私たちが目指すのは、子どもを真ん中に置き、家庭・教育・福祉・医療が、それぞれの専門性と愛情を持ち寄って支える“ひとつのチーム”です。 そのために当院が、決して曲げることなく大切にしている想いをお伝えします。

1.「その子の本当の姿」を一番知っているのは、毎日寄り添う皆様です

診察室で私たち医療者が出会える時間は、その子の人生のほんの一瞬に過ぎません。
限られた時間の中で、お話を聞き、医学的な視点から分析を行うことはできても、それだけで「その子のすべて」をつかみきることは不可能です。

本当の意味でその子の姿が見えるのは、揺れ動く日々の生活の中にしかありません。 朝の起きにくさ。 家でだけ見せる強い甘えや癇癪。 集団の中で極端に消耗してしまう姿。 ある先生の前では頑張れるのに、別の場面では崩れてしまうこと。 あるいは、学校では必死に「いい子」を演じて限界を迎え、家でだけ感情が爆発してしまう姿。 反抗するわけでもなく、ただ無表情でフリーズして固まってしまう姿——。

一見「困った行動」や「おとなしい性格」に見えるその裏側に、不安や感覚の過敏さ、言葉にできない悔しさやSOSが隠れていること。 こうした「真実」は、診察室の机の上では決して分かりません。 毎日一緒に暮らしている保護者の方、日々集団の中で泥臭く関わっている先生方や支援者の方だからこそ見えている、何ものにも代えがたい情報なのです。

私たちは、保護者の方を「知識のない素人」とは絶対に考えません。 学校や園の皆様を、医療の指示で動く「実行役」とも考えません。皆様の「観察と実践の目」がなければ、私たち医療の「分析」は決して機能しません。 どちらが欠けても、子どもを救うことはできないのです。

2.診断名は「レッテル」ではなく、我が子を知るための「地図帳」です

医療には、医療にしかできない役割があります。 それは、子どもの状態を医学的に整理し、特性や背景を見立て、必要に応じて薬や書類の力で支えることです。
しかし、医療は魔法ではありません。 診断名がついた瞬間に、「こうすれば絶対にうまくいく」という唯一の正解が空から降ってくるわけではありません。 同じ診断名でも、得意なこと、傷ついてきた経験、安心できる環境は、一人ひとりまったく違うからです。

当院では、診断名を「子どもを縛るレッテル」や「可能性を閉ざす言葉」ではなく、その子を理解するための「地図帳」だと考えています。 「なぜ同じことで叱られてしまうのか」「どんな道なら進みやすいのか」を考えるための強力な手がかりです。 しかし、地図をもらっただけで目的地に着けるわけではありません。 実際に現場という道を歩き、合わない方法を修正し、その子だけのルートを見つけていく「試行錯誤」があって初めて、地図は生きたものになります。

3.私たちが本当に守りたいのは「診断名」ではなく、「その子の生きやすさと笑顔」です

私たちは、診断基準を満たすかどうか(診断がつくかどうか)だけを重要視していません。 本当に大事にしたいのは、その子がどういうタイプなのかを理解し、「その子と周囲の人が、少しでも生きやすくなり、幸せに近づくこと」です。

たとえば「落ち着きのなさ」の点数が、診断基準を満たしていても、満たさないグレーゾーンであっても、その子が「人一倍配慮が必要なタイプ」であることに変わりはありません。 「やる気がない」「努力が足りない」と周囲から誤解され、叱責され続ければ、診断の有無に関わらず、子どもは「自分はダメな人間だ」と深く傷つき、不登校や抑うつといった二次的な苦しみ(二次障害)へと追い込まれてしまいます。
私たちが最も恐れ、防がなければならないのはこの事態です。 困りごとの背景を理解し、環境を整えることは「甘やかし」ではありません。 子どもが安心感を取り戻し、その子らしい笑顔と生きやすさを守るための、何よりも大切な土台づくりなのです。

4.保護者の方へ ―― どうか、ご自身を責めないでください

「自分の育て方が悪かったのではないか」。 そう自分を責め、涙を流す親御さんに、私たちは何度もお会いしてきました。 どうか、ご自身を責めないでください。 子育てに迷い、途方に暮れるのは、あなたが我が子と真剣に向き合っている証拠です。

そのうえで、大切なことをお伝えします。 医療が子育てを肩代わりすることはできません。 我が子を理解し、支え方を育てていく「チームの中心」は、いつだって保護者の皆様です。 最初から完璧な知識など必要ありません。 我が子の小さな変化に気づき、長い時間をかけて伴走する愛情こそが、最強の専門性です。 「医療にすべてお任せ」ではなく、「一緒に作戦を練る仲間」として、どうか私たちに力を貸してください。

そして何より、保護者の皆様ご自身が笑顔を取り戻し、時には堂々と「手抜き」をして休息できるような作戦も、一緒に考えさせてください。 完璧な親を目指す必要はありません。 親が倒れず、少しでも心穏やかに笑っていられること。 それが、子どもにとって最大の安心であり、最高の支援になるからです。
私たちは絶対にあなたを責めません。 孤立させません。

5.学校・園・福祉の皆様へ ―― 皆様の「眼」と「実践」こそが支援の要です

現場で汗を流す皆様は、医療からの指示を待つだけの存在ではありません。 子どもが生きる現実の社会(教室や集団)の中で、医療には見えない「リアルな姿」を見つめる、不可欠な専門職です。

当院は、「医療が正解を出すので、その通りに動いてください」とは口が裂けても言いません。 医療の分析と、現場の観察・実践が結びついてこそ、本物の支援が生まれます。 ですから、「医療に聞いてからでないと…」と遠慮しないでください。 現場で見えている事実、試してうまくいったこと・失敗したことを、堂々と医療にぶつけてください。 それは医療への対抗ではなく、子どもを救うための尊い「協働」です。

6.「見立てて、試して、振り返る」――診察室は次の一手を考える「作戦会議」の場です

子どもの支援に、最初から完成された正解はありません。 成長や環境の変化に伴い、昨日までうまくいっていた方法が、今日は通用しなくなることも日常茶飯事です。
だからこそ、当院の診察室は「一方的に診断を下して終わり」の場所ではありません。 家庭や学校から集まった情報を持ち寄り、「じゃあ、次はどういうアプローチを試してみようか」と一緒に知恵を絞る「作戦会議の場」でありたいのです。

その作戦会議では、子ども自身に我慢や努力を強いて「直す」ことは目指しません。 どんな「環境」を整え、どんな「道具」や「工夫」を装備すれば、この子がもっと楽に力を発揮できるのかを一緒に探します。 この双方向のやり取りの循環が生まれたとき、支援は初めて“その子だけのオーダーメイドの支援”へと進化します。

7.それぞれの役割と強みを持ち寄り、互いを尊重し合う「真のチーム」へ

ここで、当院の立場をはっきりと宣言します。
私たちは、「医師が言ったから絶対に従うべきだ」という、医療の権威性に寄りかかる関係を望みません。

家庭には、子どもが最も安心できる生活の土台をつくる、何ものにも代えがたい役割があります。 教育や福祉には、集団の中で子どもを観察し、環境調整と支援を実践する、現場ならではの力があります。 そして私たち医療には、医学的な評価、正確な見立て、治療方針の整理、薬物療法や書類による後押しという役割があります。

私たちが掲げる「フラット」とは、決して上下関係を作らないということです。 それぞれが持つ役割と専門性を心からリスペクトし合い、同じ目線で情報を持ち寄る、プロフェッショナルとしての温かく力強い関係性のことです。

8.その子らしく生きられる社会を、共に創るために

現在、支援を必要としながらも「初診まで数か月待ち」という受診難民の親子が溢れかえっています。 医療がすべてを抱え込むトップダウンの構造では、この崩壊は止められません。 医療と現場(家庭・教育・福祉)が役割を分担し、チームとして動くこと。 それが、今まさに暗闇の中で受診を待ち続けている別の子どもたちを、一人でも多く救うことに直結するのです。

私たちは、子どもを「直すべき問題」として見ません。 「普通」に型はめすることを目指すのではなく、その子がその子として理解され、必要な支えを受けながら、自分らしく堂々と笑顔で生きていける土台をつくること。

それは、「何でもひとりでできるようになること」を目指すのではありません。
自分の苦手さを知り、「自分にはこういう助けが必要です」と周囲にSOSを出し、適切に頼れる力(依存先を増やせる力)を育むこと。 それが私たちの考える「自立」であり、クリニックが目指す最終目的地です。

【当院からの5つのお約束】

1. 子どもの困りごとの背景を、決して表面的な行動だけで判断せず、どこまでも丁寧に見立てます。
2. 保護者の方を絶対に責めず、孤立させず、最強の伴走者として全力で支えます。
3. 学校や福祉の現場を、子どもの理解に不可欠な「対等のパートナー」として深く尊重します。
4. 診断の有無にかかわらず、その子が今日から少しでも「生きやすくなる」ための具体的な視点を提供します。
5. 医療にしかできない役割を誠実に果たしながら、現場の皆様とともに泥臭く考え続けます。

結びに

子どもを支えるうえで大切なのは、「誰の意見が正しいか」を決めることではありません。 医療の見立ても、家庭での気づきも、学校での姿もすべて等しく大切にし、目の前にいる「子どもの現実」に対して、関わる大人たちが学び合い、見立て合い、手を取り合うこと。

保護者の方へ。 あなたは、知識がないからといって無力な存在ではありません。 わが子を最も近くで見つめ、最も長く伴走する、かけがえのない存在です。

学校・園・福祉・支援機関の皆様へ。 皆様は、医療の判断を受け取るだけの存在ではありません。 子どもの日々の姿を見つめ、支援を実践し、医療にとって不可欠な情報を届ける専門職です。

そして医療は、すべてを決める場所ではなく、皆様とともに考え、整理し、支えるためにあります。

「医療に任せる」でもない。 「現場に押しつける」でもない。

~親子で笑顔に幸せに。 「医療」という枠を超え、子どもを真ん中にした「ひとつのチーム」へ~

それが、はやしま こどもと家族の相談クリニックが目指す、ただひとつの場所です。

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